ぐるぐる

日記

2/11日記

J・M・クッツェーの「恥辱」を読んだ。面白い。インテリ白人男性が恥辱によって破滅して、なにかを学ぶところまでのお話。タイトルなだけに恥辱のバリエーションが多彩で、心を抉るリアリズム。浮上する問題とそれに通底する語り手「彼」の意識が絡み合っているけど、そこまでわかりにくさはない。南アフリカケープタウンをメインの舞台に据えていて解説などにもあるが、当時の不安定で遊離した情勢が物語に多大な影響を与えている。そして、中でも語り手の娘「ルーシー」の立ち位置。白人の生まれながらアフリカで働くこと、特に百姓として働くことのままならなさ。ルーシーには語られ切らない過去があり、それが上手く作用している。中絶の拒否。強盗に遭い、暴行を受けてもアフリカを出ない決断。特にこの、ルーシーの暴行にまつわるくだりは残酷すぎる現実が恥辱となって、ルーシーを苦しめる。読者としても苦しい。がんじがらめの中で、ルーシーは最下段からやり直す。しんどい。読んでいてしんどい。ルーシーの逞しさがすごい。良作です。ブッカー賞取ってるし、みんな知ってるんだろうけどね。

 

今日の東京コロナ感染者数は、18660人。最多の更新は今週はなさそう。でも、検査数との兼ね合いもあるから、なんとも言えない。とにかく、はやく終息してほしい。